医療・介護・福祉のお話

認知症の話~新薬ケサンラ®の勉強会を聞いて~

こんにちは、院長の内山です。

製薬会社さんと医薬情報担当の方をお招きして、院内でアルツハイマー病の新しい治療薬「ケサンラ®」の勉強会を開催いたしました。
ケサンラは2024年11月26日に発売されたアルツハイマー病の治療薬です。この薬はアルツハイマー病の原因物質”アミロイドβ”を脳内から除去する「抗アミロイドβ抗体薬」という画期的な作用機序のお薬です。

2023年12月20日に日本国内初となる「抗アミロイドβ抗体薬」レカネマブ(商品名:レケンビ®)が発売されており、ドナネマブ(商品名:ケサンラ®)は国内2剤目となります。
まだまだ副作用のチェックのための検査ハードルが高く、在宅医療で安全に投与するのは難しいお薬ですが、同時に今後のアルツハイマー病治療に期待が持てると感じました。
その一方で、このような新薬を使ってもアルツハイマー病は根治できず、更なる医学の進歩が待たれます。

またアルツハイマー病に限らず、認知症に括られる病気のほとんどはいまだに根治療法が存在せず、うまく付き合いながら生活することが必要です。

認知症とは、「様々な影響により脳神経細胞の働きが段々と衰え、認知機能(記憶や理解力、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来した状態」と定義されています。
脳だけの病気のように思われがちですが、この様々な影響の中には「高血圧、糖尿病、高コレステロール血症など生活習慣病と言われる疾患をはじめ、難聴、全身(特に下肢)の筋力の衰え、社会的孤立や喫煙、過度の飲酒」など脳だけでなく全身の、さらに言えば日々の習慣や行動、環境に関わるものが多くみられます。
(2024年7月に発表された国際的な医学誌『ランセット』の研究に基づいて記載しています。詳しく書くと長くなってしまうので、また別の機会にさせてもらいますが、気になる方はぜひ「認知症の修正可能な14因子」で検索してみてください!)

つまり裏を返せば、毎日の習慣や行動、環境を少し見直すだけで、認知機能低下の予防、進行抑制が可能ということになります!

もはや認知症は誰でもなりうる、ありふれた病気となっています。
2024年1月1日に認知症基本法が制定され、認知症の人を含む国民一人一人が、その個性と能力を十分に発揮し、互いに人格を尊重し共生する「活力ある社会」の実現を目指して改革が進められています。
社会は認知症の人もそうでない人もお互いに支え合い、希望を持って安心して暮らせる地域づくりに取り組んでいます。

物忘れが気になり始めた方や、その介護でお困りのご家族は、お一人で抱え込まず気軽に当院にご相談ください。
仮に認知症と診断されていても、悲観して家に閉じこもる必要なんてないんです!
社会とのつながりを大事にて、自分らしく振舞うことがなによりの治療法であることを忘れないでくださいね。