~地域の皆様と近隣事業所の方々への挨拶に代えて~
北部病院で脳神経内科として診療に携わる中で、脳卒中やパーキンソン病をはじめとする神経難病の患者さんを多く診させていただきました。ある方は後遺症で足の麻痺に苦労しながら、またある方は病気の進行で動ける時間が限られてくる中で、通院のために電車を乗りついで診察室までいらっしゃっておりました。そんな苦労の中でも、不満をおっしゃることなく一生懸命にご自分の病気と向き合い戦う患者さんの姿をみて、このような病気に苦しむ患者さんの負担を少しでも減らして差し上げるにはどうすればよいか日々考えておりました。そして、重症になればなるほど労力と回数が増える患者さんの病院通いの負担を取り除いて差し上げること、すなわち医師自身が患者さんのご自宅に伺い診察させていただくことが最も簡単で効率的な方法だと考え、訪問診療の世界に足を踏み入れることを決意いたしました。
在宅医療自体は大学病院勤務時代にも医局からの派遣という形で経験しておりましたので、戸惑いはありませんでした。
訪問診療という医療制度を基礎からしっかり学びたいと考え、規模とネットワークがしっかりしている白報会在宅医療部門に入職することを決めました。
複数の診療所で勤務させていただき、船橋市、鎌ケ谷市、市川市、習志野市などでたくさんの患者さんの在宅診療にあたりました。また、素晴らしい職員と機会にも恵まれ、つだぬま在宅診療所では院長を勤めさせていただきました。
8年間の勤務経験の中で、非常に多くの患者さんを診療させていただき、その中でたくさんのことを学ばせていただきました。
また、最後の2年間は杉並区の診療所で勤務する曜日もございました。
実際にご自宅に診療に伺う中で、病気を持ちながらご自宅で過ごしたい患者さんに対して、訪問診療医としてさらにお役に立つためにはどうすれば良いか、と常々考えておりました。その中で強く感じたのは、訪問診療の現場こそチーム医療で当たる必要があるということでした。体の不自由や不安を抱えながらご自宅で過ごしている患者さんやご家族の悩みは、どんなに優れた医療知識や技術を持つ医師であろうと、ひとりでは解決できません。在宅医療の世界では病気だけではなく、老いという人の宿命や、孤独・孤立と言った家庭や社会問題が複雑に絡み合っているため、医療だけでは太刀打ちできないからです。
だからこそ、医師だけではなく、ケアマネージャーや看護師、薬剤師など患者さんに関わる全ての医療・介護・福祉の職種、事業所の連携が重要となります。関連職種の方々と密に連絡を取り合うためには、やはり自分も一つの場所に腰を据えて、チームの仲間に加えていただく必要があります。
その想いから、訪問診療とそれを必要とする患者さんに自分の医師人生を捧げる覚悟で、この度当院を開設することとなりました。杉並区を開院場所に選ばせていただいた理由は、院長紹介に書かせていただいた通りです。
改めまして、近隣にお住まいの皆様、事業所にお勤めの方々、どうぞよろしくお願いいたします。

白報会退職の際は、ありがたいことにつだぬま在宅診療所の皆様から送別会に加えて、色紙までいただくことができ感動しました。